fujimaru104’s blog

以前働いていた野村證券の話や株など、投資に関する話がメインです

野村證券 支店統合の裏側

久々の更新です。

野村證券が支店の統廃合を発表しました。

https://r.nikkei.com/article/DGXLASFL05HER_V00C19A6000000?s=0

 

新店を設置したり、あるいは支店統合すること自体はそこまで珍しいことではありません。

ただし、今回は25店舗同時にということに加えて、長く続く由緒ある支店が多く減らされるという点でインパクトが大きいです。

 

なので、野村における営業店の考え方など紹介します。

 

野村證券における営業店は、各営業店が独立採算制に近い形で運営する、一つの事業体に近いものになります。

最近ドラマの集団左遷で出ている蒲田支店みたいな感じです。

 

各支店にノルマが課され、家賃等も含めたコスト等をもとに、予算や損益分岐点のようなものが設定されます。

 

オンライン専用口座を除くと、顧客は取引のある営業店に属する形なので、取引していない店舗に行っても注文も出来ないですし、顧客情報さえ共有されていません。

 

社内の機能は、総務課というところがバックオフィスを担当して、他の人間は営業関係の部署に所属します。

 

支店においては、支店長が絶対的な権限を持ち、本社から降りてくるノルマを達成するための戦術等は支店長の裁量で決まることも多いです。

 

このような体制なので、歴史が長く規模の大きい店舗は出世コースにあたり、規模の小さい店舗や不振な店舗は新任の支店長のトレーニングの場や、都落ちした支店長を受け入れるといった位置付けになりやすいです。

 

支店長は一国一城の主で、同じエリアにある支店同士は手数料などを横並びで比較され、良く言えば切磋琢磨し合う関係です。

 

変な話ですが、首都圏では他の証券会社よりも支店間の争いの方が大変でした。

新規顧客を取り合うだけでなく、既存顧客を取り合う関係にあるという効率の悪い組織体制になってます。

例えば、池袋支店で損したお客さんがいたとして、損失が大きいので取引が疎遠になっていたとします。

そこに、何も知らない上野支店の営業マンが接触し、疎遠になっているのを知るとアプローチを開始するという感じです。

 

1億円を預けてもらうのは大変ですが、池袋支店に預けてある1億円を上野支店に移管するのは書類で済みますので、新規顧客を探すより効率がいいんですよね。

 

取引店の営業マンをさりげなくけなしつつ、関係が良くなってきたところで取引店変更を提案します。

大手顧客になりそうな場合だと、IPOを渡したりもします。

 

そんなこんなで、支店間で切磋琢磨?してきたので、効率を求めて統合する話はあまりありませんでした。

支店長や次席といっあポストの確保の意味合いも強いと思います。

 

今回、支店の統廃合に踏み込んだということは、野村のコアコンピタンスであるリテール営業に対して踏み込む話であり、ある意味聖域だったところが解体されるという意味では、非常に大きな変化です。

 

拡大志向だったリテールの方針が変わったことから、今後は給与体系や制度も踏み込まれる可能性が高まったと言えます。

 

一方で、永井CEOはリテール畑の人間ではないのでこの取り組みを決断できた部分もあり、今後の野村HDのトップが営業畑の人間となれば、また方針が変わりうるものでもあります。

 

現在で言えば、森田さんが候補の1人であり、今後の役員人事に注目です。