募集物の話 新発の債券や投信など
証券営業では避けて通れない募集物について紹介します。
そもそも募集物って何って感じですよね。
野村證券では、新たに発行される債券やPO、IPOを募集物と呼んでいます。
最近は減りましたが、2013年くらいまでは投資信託の新商品も募集物として毎月色々出てました。
最初に入社して、何かを提案する時は募集物を割り当てられることが多いです。
他の記事でも書きましたが、価格や期間が決まっているので、クロージングしやすいという面があります。
さて、本来直接金融における募集物とは、企業が資金調達をしたいがために、株や債券を発行するというのが本来の姿です。
しかし、大半は少し違ったものとなっています。
債券で、日経平均が下がらなければ金利がxx%みたいな賞品をみたことありませんか?
何故かフィンランドやノルウェー、デンマークとかが発光体で、レアル建債券とかを出してたりも多いです。
あれって何かというと、要はオプションやデリバティブを売りたいけど、そのままだと売れないので、ゴニョゴニョっと債券化したものだと理解ください。
MTNプログラムという発行プログラムのもと、証券会社が債券の需要を募り、その額分だけ発行するわけです。
これだけだと健全な感じもするかもしれません。
実際は、本社商品企画部が考えた債券を支点で5億円やる!みたいに決めて取り組みます。
顧客が実際に取引をするのが20日だとすると、本社に対して、支店にいくら配分を希望するかは10日とかになりますが、
当然この時点では目標額まで申し込みの予約を取れていないことがほとんどです。
5億目標に対して2億だったとしても、5億やると申請して、退路を絶って死にものぐるいでさばくわけです笑
最初の頃は、1億買ってくれる人から順に先入観なくオファーしろ!みたいなことを言ってた上司が、終盤になると1人まずは100万でいいからワンペロ(ペロとは約定のことです)みたいにひよってきますw
まぁなんだかんだで、だいたい最終日前に終わるんですが、たまに終わらないこともあります。
そうすると、同じエリアの他支店に要請して手伝ってもらうんですね。
そーゆうときの野村の一致団結力は凄いです。ある程度のキャリアの人は、苦しみを知ってるから助けようとしますが、若手だとぶっちゃけやることがありません。
でも必死に電話してオファーしてるふりするかが大切で、それができない人はだいたい使えないやつという目で見られ、厳しく詰められたらしがちです笑
この募集物のやっかいなとこは、相場が悪く収益が厳しい時ほどふってくるところです。
相場が良い時は、株の売買や値上がりした投信の乗り換えなど、サクサク収益が上がりますが、相場にボラがなく収益が上がらない時は、だいたい営業マンも様子見ですねーみたいに顧客と話して終わっちゃうんですよね。
そこで募集物が登場するわけです。
募集物5億円やれば、支店の収益数字の3割が終わるみたいな計画を支店長とか偉い人が立てるんですよね。
あるいは、ダメ支店に対しては、本社の偉い人からどうするのかプレッシャーの電話がかかってきます。
最近はないですが、若手に対しても似たことが昔はありました。
プレッシャーをかけられた時の模範解答は、募集物をいくらやりますと答えて、退路を断つことなんですよね笑
そんな感じで、相場が悪い時は募集物多めになります。
為替手数料の高いトルコリラ建て債券とかでそれをやるんですから、みんな地獄ですよねw
今は金融庁の前長官が是正したことでほぼなくなりましたが、昔は毎月投信で同じことをしてましたね。
毎月テーマ型の投信が2本くらい出て、それを募集ものとしてやるみたいな。
本来投資信託なんて、買いたいだけ買えばよいものですが、これも本社に金額を申請してました。
投信5送って申請したら、それを死にものぐるいで消化するわけです。
ちなみに、出来なくても誰にも迷惑かかりませんが、意外とそのことはみんな知らずに、ただただ売ることに専念してました笑
ひどい場合は、3ヶ月くらい前に買った投信を乗り換えてでとノルマ達成しないといけないので、厳しい世界でした。。。